国税庁は質疑応答事例を更新し、新たに27事例を公表しました。
その中から「残余財産がない破産法人の破産手続終結の決定があった場合における当該破産法人に対する金銭債権の貸倒れ」について取り上げます。
金銭債権が貸倒れになったかどうかは、当該金銭債権が消滅したか否かにより判定されます(法人税法22条3項3号)。
法人税基本通達9-6-1は、金銭債権が消滅することとなる事実として、同通達の(1)から(4)までを列挙しているものですが、
破産手続終結の決定は、同通達に列挙されている法的手続きに含まれていません。
これは、破産法における法人の破産手続において、配当されない部分の金銭債権を法的に消滅する手続きがないためです。
一方で、破産法人に残余財産が存在しない場合には、廃止決定時又は終結決定時に破産法人の法人格が消滅します(破産法35条)。
この時点で、当該法人に対する金銭債権も全額消滅すると解され、破産手続終結の決定があった日の属する事業年度において貸倒れとして損金算入することが認められます。
なお、破産手続終結の決定前であっても、破産管財人から配当金額が零円であることの証明を受けた場合や、
破産法人の資産処分が終了し、今後の回収見込みがなく破産終結までに相当期間がかかるときなど、配当がないことが明らかな場合は、
その明らかとなった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます(法人税基本通達9-6-2)。