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カテゴリーアーカイブ: 資産税

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充・延長

2015.10.27 火曜日

1.概要

足元の住宅着工を下支えするとともに、消費税率10%引上げ後の反動減等に対応する観点から、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等が拡充・延長されます。

平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する家屋の新築・(建売住宅あるいは中古住宅の)取得・100万円以上の増改築等の対価に充てて新築・取得・増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。

 

2.非課税限度額

(1)住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合(注1)

省エネ等住宅(注3)

左記以外の住宅

 平成28年10月1日から
平成29年9月30日まで

3,000万円

2,500万円

 平成29年10月1日から
平成30年9月30日まで

1,500万円

1,000万円

 平成30年10月1日から
平成31年6月30日まで

1,200万円

700万円

 

(注1)個人間の売買で、建築後使用されたことのある住宅用の家屋(中古住宅)を取得する場合には、原則として消費税等がかかりませんので上記(1)の表には該当しません。

 

(2)(1)以外の場合

省エネ等住宅(注3)

左記以外の住宅

 平成27年12月31日まで

1,500万円

1,000万円

 平成28年1月1日から
平成29年9月30日まで

1,200万円

700万円

 平成29年10月1日から
平成30年9月30日まで

1,000万円

500万円

 平成30年10月1日から
平成31年6月30日まで

800万円

300万円

 

(注2)既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額になります。ただし、上記(1)の表における非課税限度額は、平成28年9月30日までに住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合でも、その金額を控除する必要はありません。

(注3)「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準に適合する住宅用の家屋であることにつき、住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、または長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書などを、贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいいます。詳しくは国税庁の下記HPをご覧ください。

(国税庁HP:

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/pdf/jutaku27-310630.pdf )

 

3.受贈者の要件

次の要件の全てを満たす受贈者がこの特例の対象となります。

 

(1)次のいずれかに該当する者であること。

イ.贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。

ロ.贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないが日本国籍を有し、かつ、受贈者または贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。

ハ.贈与を受けた時に、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有していること。

 

(2)贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。

なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。

 

(3)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。

 

(4)贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

 

4.住宅取得等資金の範囲

住宅取得等資金とは、受贈者が自己の居住の用に供する家屋の新築・取得または自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。

なお、居住用の家屋の新築・取得・増改築等には、次のものも含まれます。

 

・その家屋の新築・取得・増改築等とともにするその家屋の敷地の用に供される土地や借地権などの取得

・住宅用の家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに行われたものに限ります。)に先行してするその敷地の用に供される土地や借地権などの取得

 

ただし、次の者との請負契約等により新築・増改築等をする場合またはこれらの者から取得する場合には、この特例の適用を受けることはできません。

(1)受贈者の配偶者及び直系血族

(2)受贈者の親族((1)以外の者)で受贈者と生計を一にしているもの

(3)受贈者と内縁関係にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

(4)(1)から(3)に掲げる者以外の者で受贈者から受ける金銭等によって生計を維持しているもの及びその者の親族でその者と生計を一にしているもの

 

5.居住用の家屋の要件

居住用の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。

なお、居住の用に供する家屋が二つ以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋に限ります。

 

(1)家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。

 

(2)購入する家屋が中古の場合は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

 

イ.耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。

ロ.耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。

ハ.地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」または既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること。

ニ.イからハのいずれにも該当しない家屋の場合で、その家屋の取得の日までに同日以降に耐震改修工事を行うことについて所定の手続きをし、かつ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することになったことにつき、一定の書類で証明されたものであること。

 

(3)床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。

 

6.増改築等の要件

 

特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有し、かつ、自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。

 

(1)増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお、居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。

 

(2)増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。

 

(3)増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。

 

(4)増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により確認されたものであること。

 

7.手続

 

この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、この特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、住民票の写し、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

なお、平成21年分から平成26年分において、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けている場合には、平成27年分以降の贈与でこの非課税の特例の適用を受けることはできません。
 
上記内容は、平成27年10月27日現在の法令に基づき解説しております。


平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について税率構造が変わります

2014.09.25 木曜日

1.概要

   平成25年度税制改正において、高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促進し、消費拡大を通じた経済活性化を図る観点から、直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例が創設されました。これにより、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について、20歳以上の子や孫への贈与を対象に税率構造の一部が緩和されています。なお、上記以外のいわゆる暦年課税の贈与を対象とした贈与財産に係る贈与税の税率構造については、最高税率の引上げ等が行われます。

 

2.税率

(1)特例税率(特例贈与財産)(注1)による贈与税の速算表

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

200万円超~400万円以下

15%

10万円

400万円超~600万円以下

20%

30万円

600万円超~1,000万円以下

30%

90万円

1,000万円超~1,500万円以下

40%

190万円

1,500万円超~3,000万円以下

45%

265万円

3,000万円超~4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

 

(2)一般税率(一般贈与財産)(注1)による贈与税の速算表

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

200万円超~300万円以下

15%

10万円

300万円超~400万円以下

20%

25万円

400万円超~600万円以下

30%

65万円

600万円超~1,000万円以下

40%

125万円

1,000万円超~1,500万円以下

45%

175万円

1,500万円超~3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

 

(注1)暦年課税の場合において、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者に限ります)については、「特例税率」を適用して税額を計算します。この特例税率の適用がある財産のことを「特例贈与財産」といいます。また、特例税率の適用がない財産(「一般税率」を適用する財産)のことを「一般贈与財産」といいます。

 

3.暦年課税の税額計算

 (1)贈与により特例贈与財産のみを取得した場合

   贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

   続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。

   次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

   上記2に掲載した速算表を利用して、特例贈与財産の価額の合計が600万円の場合の贈与税額を計算すると、次のようになります:

 

   基礎控除後の課税価格 600万円-110万円=490万円

   贈与税額の計算 490万円×20%-30万円=68万円

 

   平成26年12月31日までの直系尊属からの贈与、または平成27年1月1日以後の一般贈与財産の贈与ですと、贈与税額は82万円となりますので、超過累進をならした実質の税率ベースで約2.3%、税率が緩和されていることになります。

(緩和されている税率の割合は、贈与額によって変動します)

 

 (2) 贈与により一般贈与財産と特例贈与財産を取得した場合

   次の①及び②の合計額が贈与税額となります:

①一般贈与財産に対応する金額:a×(A/C)

②特例贈与財産に対応する金額:b×(B/C)

   A:一般贈与財産の価額

   B:特例贈与財産の価額

   C:合計贈与価額(A+B)

   (※A、B及びCは、課税価格の基礎に算入される価額)

   a:合計贈与価額Cについて一般税率を適用して計算した金額

   b:合計贈与価額Cについて特例税率を適用して計算した金額

 

   上記2に掲載した速算表を利用して、一般贈与財産150万円(Aの金額)と特例贈与財産450万円(Bの金額)(合計600万円(Cの金額))を取得した場合の贈与税額を計算すると、次のようになります:

 

基礎控除後の課税価格 600万円-110万円=490万円(上記(1)と同じ)

贈与税額の計算

①一般贈与財産に対応する金額

(490万円×30%-65万円)×(150万円/600万円)=205,000円

     aの金額

②特例贈与財産に対応する金額

(490万円×20%-30万円)×(450万円/600万円)=510,000円

     bの金額

③①+②=715,000円

 

4.改正前後の比較

(1)平成26年12月31日までの贈与税の速算表

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

200万円超~300万円以下

15%

10万円

300万円超~400万円以下

20%

25万円

400万円超~600万円以下

30%

65万円

600万円超~1,000万円以下

40%

125万円

1,000万円超

50%

225万円

 

(2)改正前後の比較

①特例税率の場合、基礎控除後の課税価格が年間300万円超4,500万円以下の贈与について、税率構造が緩和されています。

②一般税率の場合であっても、基礎控除後の課税価格が年間1,000万円超1,500万円以下の贈与については、税率構造が緩和されています。

③特例税率の場合は基礎控除後の課税価格が年間4,500万円超の贈与について、一般税率の場合は基礎控除後の課税価格が年間3,000万円超の贈与について、それぞれ最高税率が引き上げられています。
 
上記内容は、平成26年9月25日現在の法令に基づき解説しております。


東京地裁 相続人名義の預貯金は相続財産に該当

2014.06.30 月曜日

. 事案の概要

  相続人名義の預貯金について、被相続人と相続人の間で生前贈与する旨の贈与契約が成立していたか否かを巡り争われた事件で、東京地方裁判所は425日、生前贈与した事実は認められず、相続人名義の預貯金は被相続人の財産に帰属するとして、原告の主張を棄却する旨の判断を行いました(平成25年(行ウ)第104号・係属中)。

 

  本件は,弁護士である原告Xが、他の親族らとともに被相続人から相続した財産について相続税の申告を行ったものの、申告した相続財産のうち原告名義の預貯金については、生前贈与を受けたものであるとして更正の請求を行ったところ、税務当局が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったことで争われました。

  争点は、被相続人と原告との間で、原告名義の預貯金について、生前に贈与する旨の贈与契約が成立していたか否かであります。

 

~被相続人の財産に帰属する相続人名義の預貯金の判定~

  相続人名義の預貯金が被相続人の相続財産に該当するか否かについては、相続税法や通達において、その判定基準や要件は規定されておりません。そのため、実務上は過去の判決で示されたように、預貯金口座の購入原資の出捐者(しゅつえんしゃ)や口座開設の意思決定・手続を行った者、預貯金口座の管理及び運用の状況(通帳や証書,印鑑の保管場所等),贈与契約書の有無などを総合考慮して判定されており、本件においても、これらを前提として東京地裁の判断が行われております。

 

2.東京地裁の判断

  東京地裁は、以下の理由により、被相続人から原告Xに対して、原告名義の預貯金を生前贈与したとは認められないため、被相続人の相続財産に該当すると判断致しました。

認定事実を総合考慮すれば贈与契約は成立していない

  東京地裁は、原告Xが、「被相続人が原告に対して,毎年,贈与税の非課税枠の限度額の範囲内で贈与する旨約したことで、贈与契約が成立し、原告名義の預貯金口座に預入れが行われたことで贈与が履行された」などの主張について検討するため、まず、認定事実を整理しました。

 

<主な認定事実>

・原告名義の預貯金への預入金額は、毎年、贈与税の基礎控除額の範囲内で預け入れられておりました。

・原告名義の預貯金口座の一部解約に伴い、解約済預貯金を原告に対して現金で交付しておりました。

・原告は被相続人から届出印の返還を受け所持しておりいました。

・原告名義の預貯金口座は、いずれも、被相続人が自らの財産を原資として開設しておりました。

・被相続人は、原告名義の預貯金口座に係る一部の解約金を自己の口座に入金し、同口座の資金を土地の購入資金に充て、被相続人名義で土地を取得しておりました。

・被相続人は、原告に対して届出印を返還したが、預貯金に係る証書を自ら保管しておりました。

 

被相続人が預貯金証書を保存し、解約金も自ら使用

  東京地裁は、上記の認定事実に加え、預貯金を贈与する旨の書面が作成されていないことも勘案すれば、被相続人は、相続対策として、毎年、贈与税の非課税限度額内で、原告ら親族の名義で預貯金の預入れを行っていたものの、預貯金の証書は自ら保管して原告らに交付せず、被相続人自身に具体的な資金需要が生じた際に、必要に応じてこれを解約し、被相続人自ら使用することを予定していたというべきであると指摘されました。

  よって、被相続人は、預金口座の開設時やその後の預入れ当時、その預入金額を原告らに贈与するという確定的な意思があったとまでは認められないというべきであるとした。

 

  本件で東京地裁は被相続人が相続税対策として、毎年、贈与税の基礎控除額の範囲内で相続人名義の預貯金口座に預入れを行っていた事実は認めたものの、その他の事実を総合考慮した結果、被相続人の相続財産に該当すると判断致しました。


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